一日塩分摂取量

 以前は日本人は一日に13〜14g程度の塩分を摂取していましたが、体を動かさなくなって、炭水化物からのエネルギー摂取の必要がなくなるとともに次第に減ってきて、現在10g前後を摂取しているとされています。しかしながら、多くの日本人では食塩感受性が高く、塩分の過剰摂取が血圧を高めていることもあり、世界保健機関からの勧告では6g程度の摂取が推奨されています。

 さて、実際にどのくらいの塩分摂取をしているかを知ろうとすると容易なことではありません。食品成分表と食事の内容、量を照らしあわせ、更には調味料やふりかけた食塩の量を加えるなど大変な作業が必要です。一方、尿検査から測定する方法では24時間蓄尿(尿を貯める)を行い測定する方法があります。この方法は入院中なら比較的容易ですが、塩分量などを計算された入院食を対象であり、実生活での塩分摂取量とはかけ離れたものと言わざるを得ません。 

 高血圧学会では外来で比較的容易に測定できる随意尿を元に、年齢と体重から推定する方法を示しています。実際にこの方法で難治性の高血圧患者さんの一日塩分摂取量を測定すると、なんと25gも摂取していました。そこで食事、栄養指導を行って15g程度にまで減塩してもらったところ最高血圧が通常の薬剤投与量でほぼ満足できる値の140mmHg程度まで下がってきました。

 随意尿での一日塩分摂取量の推定は、正確さは望めませんが、実生活での塩分摂取量の多少を推定するには十分で、大変活用できる検査です。