高血圧の自己管理

人間ドック学会と健康保険組合とが高血圧学会などの基準よりやや緩い値を示し話題になりましたが、健康で何も症状がない生活をしていた方で最高血圧が140mmHg以上を指摘された時、やはりイエローカードが出されたと考えてください。

血圧が高くなることは、左の図に示した様に、高い位置まで血液を揚なければならないことを意味しています、血管に負荷がかかるだけでなく、心臓へも負担がかかります。高血圧状態が続くと心臓はそれだけ余分の力仕事をしざるを得ず、心臓の筋肉も次第に増大して、心筋が肥大してきます。"筋肉が増大するから力持ちになる”といったわけにはいきません。心筋が肥大すると、心臓表面から心筋の中へ酸素と栄養を供給をおこなっているため、心臓の一番内側すなわち心内膜側では酸素不足の状態になってしまいます。そして最後には心電図でも異常が見られるようになってきます。(高血圧性心筋症といわれる病態です)

 さて、血圧が高いことを指摘された際にまず行わねばならないのが、家庭血圧あるいは24時間自由行動下の血圧を測定して本当に血圧が高いのかを確認するとともに、血圧を高くしている原因はどこにあるのか探ることです。また、夜間の血圧の状態を知ることも大切なことで、最近の自動血圧計の中にはタイマー付きで睡眠中の血圧測定をするものも半臥位されています。一方、血圧を高くする要因には、過労状態や急激な環境の変化、あるいは不眠が続いているなど精神的な要素があります。一方、運動不足も大きな要因で、適度な運動が血圧を10〜20mmHg程度下げることが知られています。過食、塩分過剰摂取など食事も非常に大きな高血圧の要因の一つです。

 3ヶ月間ほど生活習慣に心がけるとともに家庭血圧を測定して、記録してください。家庭血圧での朝の血圧が平均して135mmHgを超えている場合には、生活習慣の改善が不十分なのか、血圧を上げる要因が他にあるかを鑑別して治療する必要があります。