超高齢化社会を迎えて

 日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超え10人に一人が75歳以上と超高齢化社会で、団塊の世代が75歳以上となる2025年には3人に一人が高齢者になると言われています。

 残念なことにヒトは現在の医療ではいくら抗加齢治療を行っても加齢による様々な臓器の機能の低下を拒むことは出来ません。

総合医療の必要性

 高齢者では僅かな臓器異常が全身状態を悪化させるので、早期に臓器障害を診断、治療させることが健康を維持することとして行われてきました。特に近年では、より早期の臓器障害を診断し治療を行う必要が有るとされ診療科が専門化し、大きな施設では内科だけでも循環器、消化器、呼吸器、神経内科などと細分化されています。しばしば500床以上の総合病院では循環器科だけでもカテーテル治療を中心としたグループと高血圧や動脈硬化、糖尿病の管理を中心としたグループに分かれている場合もあります。検査や治療方法が高度の専門性を要求しており、細分化は必須ともいえます。加齢とともに足腰が弱り、いわゆるロコモーションシンドロームと称される全身機能低下が問題視されています。さらに、齲歯や歯槽膿漏といった口腔内の障害が認知機能の低下に大きな影響を与えていると言われ始めました。

 一方で、それぞれの臓器障害わずかでも多臓器に障害があり、相互に関係をしている場合や、動脈硬化性病変は多臓器に障害を与えているため単独の専門家では疾病の全体像が見えにくく管理出来ない例も散見されます。また、全身・あるいは個々の臓器の衰えが見られる高齢者にとっても、全身と臓器との平衡・調和が必要であす。高齢者では、しばしば臓器の障害を完全に修復することが不可能で、障害の程度にあわせて調和を図らざるを得ないことも体験します。すなわち、高齢者はそれぞれ障害を受けている臓器のを修復するだけでなく全人的に診てゆく必要があります。